## はじめに
このたびは、VZエディタVer1.6をお買い求め頂きまして、誠にありがとうございます。
おかげさまで、VZもすでに総計17万本を出荷させていただき、DOSマシン必携ツールの地位を築くことができました。
Ver1.5の発売以来4年。今回のVer1.6は、最後でしかも最大のバージョンアップとなります。数々の機能を強化し、使いやすさを改善し、また時代のニーズに合わせた改良を施しました。
あとしばらくすればWindowsが主流となり、DOSのアプリケーションを使う場面は限られて来るでしょう。しかし、残りわずかな間、より快適なライティング環境をめざして、努力を続けて参りたいと思います。
どうか暖かいご声援を賜りますよう、よろしくお願い致します。
1993年12月
兵藤嘉彦(c.mos)
株式会社ビレッジセンター代表取締役 中村 満(v.c.)
# 序章
## VZエディタとは
### ■ 高速・軽量
VZエディタは、MS-DOS標準形式のテキストファイルを編集するスクリーンエディタです。ですから、ワープロのような印刷機能や日本語入力機能はもっておりません。しかし、その分コンパクトで俊敏なレスポンスを備えています。パソコンに限らず、全てのツールにあるべく姿は、ユーザーがそれを意識しないで使えるということです。VZの設計思想の原点もそこにあります。
Windows3.1の登場により、パソコンの環境は大きく変わろうとしています。確かに広い画面とGUIの世界は魅力的です。しかし、ノートパソコンの世界ではまだまだWindowsよりDOSの軽快なアプリケーションが主体です。軽快なライティングツール、それがVZの目指す姿です。
### ■ 操作性の追及
ただ高速・軽量であっても、使い難くては価値がありません。VZでは、こと細かな点に至るまで、操作性に気を配っています。いくつか例をあげてみましょう。
- ファイル名や検索文字列等の入力時には、常にヒストリー機能が働き、以前に入力した情報を有効に利用できます。
- 削除した文字・文字列または行・ブロックは、各々のバッファがあふれるまで順次記憶され、所定のコマンドで復活できます。
- 編集ファイルの指定時には、ディレクトリ、拡張子を指定する必要はありません。VZがあらかじめ設定したパスから、すばやくファイルを捜してきます。
### ■ DOS環境ツール
VZの上ではこのような操作環境が実現しました。でも、編集を終了しMS-DOSのコマンドラインに戻ったら、再びテンプレートの世界に逆戻りです。しかし御安心を。VZの環境を、そのままMS-DOSの世界に持ち込むことができます。それが「常駐機能」です。「AUTOEXEC.BAT」の中で「vz -z」と記述するだけで、コマンドラインでもVZの編集機能が使え、[**ESC**]キー一発で瞬時にVZが起動します。
さらに、VZはファイラーと呼ばれるファイル管理ツールを内蔵しています。コピーや削除などのファイル管理に、いちいち他のアプリケーションの助けを借りる必要はありません。
### ■ ユーザーフレンドリー
いくら操作性に気を配っても、やはり人の好みはさまざまです。VZは、決った操作を強要したりしません。キー割り当てはもちろん、メニュー、表示カラー、各種バッファサイズ等、ありとあらゆる機能を、DEFファイルを書き変えるだけで自由に設定できます。また、馴染み易く強力なマクロ言語を装備しており、必要に応じて機能を拡張してゆけます。そしてパワーユーザーのためにソースコードも付属しました。使えば使うほど味が出てくる、そんなツールがVZです。
### ■ パソコン通信ではぐぐまれた
VZは、開発当初からパソコン通信による作者とユーザーとの意見交換の中で成長してきました。もしもパソコン通信というメディアが存在しなければ、VZが世に出ることはなかったでしょう。まさしく、ユーザーこそがVZの育ての親なのです。
### ■ 豊富なマクロライブラリー
NiftyServeのFGALPKには、300を越えるマクロが登録されており、「マクロ師」とよばれるVZマクロのエキスパートたちが、活発な活動を続けています。
今回のVer1.6では、彼らの意見を多く取り入れ、より強力で使い易いマクロ言語に成長しました。将来も、マクロによってVZは成長し続けることでしょう。
## Ver1.6の新機能
### ■ Windows時代に対応
Windowsの普及にともない、10MB以上のメモリを搭載するのも当たり前となってきました。この大容量メモリを有効に活用するために、新たにXMSに対応。EMSと合わせて16MBまでのメモリを利用できます。
さらに、DOSコマンド実行時には、未使用のEMS、XMSメモリを解放。VZからWindowsを起動した場合も、メモリ不足に悩まされることはありません。
### ■ 広大なマクロバッファ
動作時のコードセグメントとデータセグメントを分離し、各種ワークエリアが合計64KBまで確保可能になりました。もうマクロバッファに悩まされることはありません。
これに伴い、VZ本体のサイズ制限も緩和。大幅な機能アップが可能となりました。
### ■ 文字列検索の強化
VWX.COM(石田暢彦(wing)氏作)に対応。タグ付き正規表現検索、全角半角の同一視検索が可能になりました。(VWX.COMは、製品に標準添付)
### ■ ログファイルの高速アクセス
ログファイルの履歴を保存し、最後にアペンドされた位置をビューモードで瞬時にオープン。さらに、ログファイルの末尾のみを修正した場合は、末尾のみを高速セーブ。数MBの巨大なログファイルも、軽快に扱えます。
### ■ ファイラーの強化
ファイル属性によるカラー表示、削除・リネーム・属性変更機能、レスポンスファイルの生成機能等、細かな点でより使い易くなりました。
さらに、ファイラーのメニューコマンドは、フルカスタマイズ可能です。
### ■ プロファイル機能の強化
編集テキストの状況、ヒストリーバッファ、オプション設定等も保存し、終了前の状態で編集を再開できます。
### ■ オートセーブ機能
一定時間キー入力がないと、自動的に起動するオートセーブ機能に対応。オートセーブ自体はマクロで記述しますので、好みにあった方法を組み込めます。
### ■ マクロ機能の強化
- 複数の外部マクロのロード・共存を可能にするためのモジュール管理。
- ファイルオープン時、ファイラー起動時等に自動的に呼び出されるイベントマクロ。
- 文字列処理関数、ロング演算関数、ファイラー制御関数等の追加。
- よりシンプルな記述を可能にするための、機能強化。
- 従来マクロとの互換性を十分に配慮。
### ■ その他の改良ポイント
- 常駐時の各種不具合を改善。
- ファイラーのディレクトリ数の制限を緩和(FW2000以上可能)。
- タイトルサーチ機能の強化。テキスト毎にタイトル検索文字列を設定可能。
- ステータスラインのシステム情報の充実。
- 右マージンの表示機能。
- 桁対応上書きモード。
- 検索ウインドウ内での検索オプション表示・設定機能。検索文字列中でのオプション指定も可能。
- 改行コードが 0Ah のみのテキストに対応。
- テキストのコントロール文字の2色表示機能。
- 全角スペースの表示機能
- 98のノーマル画面を30+α行にする「30BIOS.COM」(lucifer氏作)に対応。
- ファイラーのレスポンスファイル生成機能。「ZCOPY」で一括コピー可能に。
- MS-DOS Ver6.1対応
●**Ver1.6の追加・変更機能の詳細な内容については、「VZ16.DOC」をご覧ください。**
## 動作環境
VZエディタVer1.6の動作環境は、次のとおりです。
### ■ ハードウェア
**【PC-9801版】**
PC-9801シリーズ全機種(LTを除く)
EPSON PCシリーズ
(ハイレゾリューションモード対応)
**【DOS/V版】**
DOS/Vの動作するIBM PCおよび互換機
**【J-3100版】**
J-3100シリーズ日本語モード
(画面モード74hのみ対応)
**【AX版】**
AXマシン日本語モード
**【PS/55版】**
IBM PS/55シリーズ
5530Z/S/T、5551S/T/V、5571S/T/V
(日本語モードのみ、英語モードはDOS/V版を使用)
### ■ 動作OS
MS-DOS3.1以上
### ■ 動作可能フリーエリア
メインメモリ192KB(EMS6ページ以上)
## マスターディスクの内容
VZエディタには、3枚のマスターディスクが付属しています。このうち2枚は98フォーマット、1枚はIBMフォーマットのディスクです。
### ■ 両ディスク共通のファイル
|ファイル名|説明|
|---|---|
|INSTALL.BAT|インストール用バッチファイル|
|README.DOC|最新版の情報|
|VZ16.DOC|Ver1.6の変更点|
|MAC16.DOC|Ver1.6のマクロの解説|
|VZ.DEF|標準DEFファイル|
|VZFL.DEF|ファイラー定義ファイル|
|VMAP.COM|メモリ情報表示ツール|
|VMAP.DOC| 上記ドキュメント|
|ZCOPY.COM|高機能コピーコマンド|
|ZCOPY.DOC| 上記ドキュメント|
|VWX.COM|VZ検索拡張ツール|
|VWX.DOC| 上記ドキュメント|
|WGREP.LZH|正規表現検索ツール|
|OLDDOC.LZH|旧版のドキュメント|
|VZSEL.COM|機種判定コマンド|
|SRC \